
家賃保証・空室保証・サブリースという制度があります。この3つの制度は似ているようでいて、全く別物の制度です。今回は家賃保証・空室保証・サブリースをそれぞれご紹介することで違いを浮き彫りにしていきたいと思います。
1 家賃保証
家賃保証とは、借り手の住人が家賃の滞納をした場合、大家さんに滞納分の家賃の支払いを行ってくれる保証制度です。
ⅰ 家賃の滞納がおこる
ⅱ 大家さんから保証会社へ「滞納」報告がなされる
ⅲ 保証会社が家賃を大家さんに支払う
ⅳ 保証会社が大家さんに替わって借り手である住人から滞納した家賃を取り立てる
保証会社への保険料は借り手である住人が支払います。また、保証会社を借り手側が選ぶことも基本的にできません。ですから、賃貸住宅を借りる際には保証会社へ支払う保険料金も加味して物件を選択しましょう。
2 空室保証
空室保証を利用すると、空室が生じてローンの返済が厳しくなった場合に保証会社が一定金額の家賃を補填してくれます。よって、空室が発生してもローンの支払いを遅滞なく行うことが可能になります。
空室保証とは毎月固定の保証料を支払うことで、賃貸住宅の賃貸経営において空室が発生してしまった場合に空き室の家賃を一定額保証するサービスのことです。

参考:一般社団法人 全国賃貸経営補償機構 HP「あんしん家主30」
https://www.zenchinkikou.org/service01/
ここでは上記の「あんしん家主30」が提供している空室保証を解説していきたいと思います。
ⅰ 空室の発生
ⅱ 家賃の90%未満の場合90%までの家賃を「給付金」という形で受け取ることができる
参考:一般社団法人 全国賃貸経営補償機構 HP「あんしん家主30」
https://www.zenchinkikou.org/service01/
上記の空室保証を利用すれば、安定した賃貸経営を営むことが可能です。
ⅰ 礼金や更新料といった収入は大家さんの収入になる
サブリースの場合、礼金や更新料はサブリース会社の収入になりますが、空室保証を利用した場合大家さんの収入になるため収益性の高い賃貸運営を行うことができます。
ⅱ 30年の長期保証
サブリースの場合保証期間が短く設定されていたり、突然打ち切られたりしますが、空室保証の場合は最長補償年数が30年と長期にわたって補償を受けることができます。
ⅲ 保険料金は経費として認められる
支払い保険料は経費として取り扱われるため、節税効果を得ることが可能です。
3 サブリース
サブリース契約では物件を丸ごとサブリース会社が借り上げてくれるため、大家さん自身が空室対策をしなくても一定したお金が大家さんに入ってきます。一見便利なサブリースですが、トラブルが続出しています。なぜサブリースではトラブルが発生しやすいのでしょうか。
サブリースとは物件を丸ごと1棟サブリース会社が借り上げる契約のことです。よってサブリース会社は不動産物件を転貸することになります。またサブリースでは1棟丸ごとサブリース会社が借り上げるため、大家さんは物件に関してなんらの煩わしい手間もなく家賃収入を得ることができます。
ⅰ 自分で賃貸物件を運営するよりも収益率が下がる
サブリースを利用した場合、家賃収入の70~90%ほどしか大家さんは収入を得ることができません。
ⅱ 礼金や更新料といった収入はサブリース会社の収入になる
サブリースを利用する場合、礼金や更新料といった収入はサブリース会社の収入になるため収益率が低くなります。
ⅲ 保証は長期にわたって補償されるものではない
サブリースを利用した場合、数年おきに契約更新がなされます。そのたびに家賃の減額を迫られるケースが多くなっています。
ⅳ サブリース会社が破たんすると、負債だけが残ることになる
最近門外となったかぼちゃの馬車のように、サブリース会社が破たんすると、家賃の振り込みがストップするだけではなく、負債だけが残ることになります。
今回は家賃保証・空室保証・サブリースをそれぞれご紹介してきました。特にサブリース契約はトラブルが発生しやすい契約であることがお分かりいただけたと思います。保障の違いを理解し、しっかりとした賃貸借経営を運営していきましょう。