
マンションを購入すると毎月支払わなければいけない費用に「修繕積立金」があります。実はこの「修繕積立金」がマンション投資におけるリスクになりかねない費用なのです。今回は修繕積立金の使途や、なぜ修繕積立金がマンション投資におけるリスクになりかねない費用なのかといった点をご説明していきたいと思います。
1 修繕積立金とは?
マンションの共有部分に係る大規模修繕に備えて毎月積み立てるお金のことです。修繕積立金はマンションの共有部分に関する修繕費のため、自室のリフォーム費用などは別途積み立てる必要があります。
平成23年に定められた国土交通省のガイドラインでは修繕積立金の額の目安は以下のように定められています。
ⅰ 専有床面積当たりの修繕積立金の額
階数/建築延床面積 | 平均値 | |
15 階未満 | 5,000 ㎡未満 | 218 円/㎡・月 |
5,000~10,000 ㎡ | 202 円/㎡・月 | |
10,000 ㎡以上 | 178 円/㎡・月 | |
20 階以上 | 206 円/㎡・月 |
ⅱ 機械式駐車場がある場合の加算額
機械式駐車場の機種 | 機械式駐車場の修繕工事費 |
2段(ピット1段)昇降式 | 7,085 円/台・月 |
3段(ピット2段)昇降式 | 6,040 円/台・月 |
3段(ピット1段)昇降横行式 | 8,540 円/台・月 |
4段(ピット2段)昇降横行式 | 14,165 円/台・月 |
低層階よりも高層マンションのほうが修繕積立金の金額が高くなっています。また修繕積立金の金額は機械式駐車場があるマンションの場合、高額な加算金が発生するので注意が必要です。
このガイドラインは平成23年に作成されたものです。ガイドライン以前に販売されたマンションの場合、修繕積立金が十分に積み立てられていない可能性もあるので注意が必要です。
*参考:国土交通省 「修繕積立金及び長期修繕計画に関するガイドライン」
2 修繕積立金の金額は一定ではない
新築マンションを購入する際に修繕積立費が設定されています。この修繕積立金の金額は一定ではありません。ここでは修繕積立金の金額設定方法をご紹介していきたいと思います。
均等積立方式の場合、必要となる修繕金額を修繕計画期間で割ることで毎月同じ金額を修繕積立金として積み立てる方式です。
多くのマンションはこちらの段階増額積立方式を採用しています。段階増額積立方式では修繕積立金を徐々に値上げしていく方式です。このため新築マンションを購入した時は修繕積立金が安くても、年を追うごとに修繕積立金が高くなっていくのです。
マンションの大規模修繕は一般的に12~15年ごとに行われます。国土交通省のガイドラインでは12年ごとに大規模修繕を行っている事例が掲載されています*。ですから、修繕積立金も12~15年ごとに高くなる傾向があります。
*参考:国土交通省 「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」
修繕積立金は一般的に毎月積み立てる方式を採用しているマンションが多いですが、入居時や大規模修繕時に一時金として一括で支払う場合もあります。
3 新築マンションを購入する際の注意点
新築マンションを購入する際には価格や間取り、眺望といった点だけではなく、修繕積立金にも注意しましょう。
多くのマンションでは段階増額積立方式を採用しています。ですから修繕積立金は購入時には安く設定されていますが、徐々に値上げされるのが通常です。新築マンションを購入する際には住宅ローンの支払い金額だけではなく、修繕積立金の増額にも注意を払って購入計画を立てていきましょう。
国土交通省のガイドラインは30年間の長期計画の下の修繕積立金の算定を行っています。ですから30年後以降の修繕積立金はどのようにすべきなのか・いくら積み立てていけばよいのかなどといったことが白紙になっている状態です。ですから、築年数が30年以上経過後の修繕積立金の金額について、新築マンションを購入する際にしっかりと説明を受けるように心がけましょう。