
不動産物件の築年数と賃料にはどのような関係があるのでしょうか?今回はデータを調査分析することで、不動産物件の築年数と賃料の関係を考えていきたいと思います。また併せて、不動産物件の築年数と価格の推移も調査分析していきたいと思います。
1 不動産物件の築年数と価格の推移
最初に家賃の算出の基礎になる不動産物件の築年数と物件価格の推移を総務省統計局物価統計室のデータ*を基にして、調査・分析していきたいと思います。
*参考:総務省統計局 物価統計室
① 住宅資産額の築年数別減耗率の推移
参考:総務省統計局 物価統計室
上記は総務省統計局物価統計室が公表した「住宅資産額の築年数別減耗率の推移」を表したグラフです。
木造建築は築10年で急速に価格が下落していきます。比較して非木造建築の場合は下落スピードが一定しています。減耗率の平均は、非木造共同住宅で 1.7%/年、木造共同住宅で 1.6%/年、木造一戸建てで 1.0%/年になっています。
② 建築物の耐用年数
・木造・合成樹脂造のもの(住宅用) 22年
・木骨モルタル造のもの(住宅用) 20年
・鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの(住宅用) 47年
*参考:国税庁HP 「主な減価償却資産の耐用年数」
https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34354.php
建物の耐用年数をみると、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のものは木造と比較して倍以上の耐用年数があることが分かります。この耐用年数の違いが物件価格の下落率に関係しているものと考えられます。
2 不動産の経年による賃料下落推移
不動産の経年劣化による賃料はどのように推移していくのでしょうか?今回は三井住友トラスト基礎研究所が行った調査*と統計局のデータを分析することで考えていきたいと思います。
*参考:三井住友トラスト基礎研究所「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」
① 不動産の経年による賃料下落推移~三井住友トラスト基礎研究所
*参考:三井住友トラスト基礎研究所「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」
上記はアットホームのデータをもとに三井住友トラスト基礎研究所が算出した「タイプ別築年数別の理論資料指数(東京23区)」です。
シングル | コンパクト | |
築3年~築10年 | 1.7%/年 | 2.2%/年 |
築11年~築20年 | 0.6%/年 | 0.9%/年 |
築20年以降 | 0.1%/年 | 0.7%/年 |
平均 | 0.8%/年 | 1.2%/年 |
ⅰ 築3年~築10年~最も賃料が下落しやすい時期
築3年~築10年の築浅物件の場合、競争勢力が「新築」になってしまうため、賃料で対抗せざるを得なくなってしまい、賃料が最も下落しやすい時期になっています。
入居者の入れ替え時に新築物件と競争して入居者を獲得せざるを得なくなり、賃料を下げるといったケースが多くみられます。よって賃料の下落の防止策としては、既存入居者に長く「新築」の家賃で住み続けてもらうことが最良の賃料下落防止策になるといえます。
ⅱ 築11年~築20年~下落速度緩和期
築11年~築20年の物件を求める層は「築年数」にこだわりのない層であるといえます。感覚的に築15年の物件でも、築13年の物件でも大差がありませんよね?そのため築年数による経年劣化からの賃料の下落が緩和されて、穏やかに下落していくものと考えられます。
② 不動産の経年による賃料下落推移~総務省統計局物価統計室
参考:総務省統計局 物価統計室
上記は総務省統計局が公表した「平均築年数の前年差を考慮した経年変化率」です。非木造共同住宅では0.76%/年、木造共同住宅では0.84%/年という賃料の下落率になっています。物件の経年劣化による価格推移よりも賃料の下落推移は穏やかであり、非木造共同住宅と木造共同住宅との比較でも物件価格の下落ほどの大差がでないということが分かります。
また上記の三井住友トラスト基礎研究所が算出したシングルの平均下落率は0.8%/年となっています。統計局の調査(非木造共同住宅では0.76%/年、木造共同住宅では0.84%/年)と照らし合わせて、不動産の経年による賃料下落率は平均しておよそ0.8%/年であると考えられます。
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