
参考:公益財団法人 生命保険文化センターHP
http://www.jili.or.jp/research/report/zenkokujittai.html
いったん加入するとそのまま自動更新してしまいがちな保険ですが、一般的に生命保険はどのように利用されているのでしょうか?今回は気になるみんなの保険事情を最新のデータを使って分析していきたいと思います。
1 生命保険に関する全国実態調査とは
「生命保険に関する全国実態調査」とは公益財団法人 生命保険文化センターが昭和40年から3年ごとに行っている調査です。一般家庭の保険の加入状況などを2人以上世帯を対象にして調査しています。
今回は下記の平成30年度の「速報版」を分析することで、一般家庭の保険加入の実態を考えていきたいと思います。
参考:参考:公益財団法人 生命保険文化センター
http://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf
2 生命保険に関する全国実態調査分析
① 世帯加入状況
平成30年度調査結果 | 平成27年度調査結果 | |
加入率 | 88.7% | 89.2% |
加入件数 | 3.9件 | 3.8件 |
普通死亡保険金額 | 2,255万円 | 2,423万円 |
年間払込保険料 | 38.2万円 | 38.5万円 |
生命保険の世帯加入状況は88.7%と高い加入率であることが分かります。今回の調査の特徴は普通死亡保険金額がおよそ200万円ほど急激に低下していることです。年間払込保険料も3,000円ほど少なくなっていることから、保険の見直しなどで保険料金を節約している世帯が増えていることが分かります。
② 世帯加入率の推移
参考:参考:公益財団法人 生命保険文化センター
http://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf
世帯加入率の推移をみると、平成6年の95%をピークに年々保険加入率が減少していることが分かります。特にかんぽ生命(簡保を含む)の加入率が軒並み低下していることが分かります。これはマイナス金利の導入からかんぽ生命の生命保険が元本割れしていることが理由として考えられます。また、保険料がリーズナブルな県民共済や生協の保険の加入者が年々増加していることが分かります。
③ 妻の加入率の推移
参考:参考:公益財団法人 生命保険文化センター
http://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf
生命保険の最近の傾向として妻(男性世帯主の配偶者)の加入率の増加が挙げられます。共働きの増加から、世帯主の夫に比重がかかりがちであった保険加入状況にも変化が表れたものと考えられます。
また妻の普通死亡保険金額の平均額も758万円と世帯主の普通死亡保険金額の平均額同様年々減少傾向にあります。
④ 生命保険料控除制度の認知度
参考:参考:公益財団法人 生命保険文化センター
http://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf
生命保険料控除は支払った保険金額によって、課税標準金額が減額されることで所得税や住民税を節税することができる便利な制度です。意外なことにも生命保険料控除制度を「知らなかった」と回答している層が56.3%と半数以上にも上っています。別項で詳しく説明していますので、生命保険料控除をうまく活用して節税していきましょう。
⑤ 進む「かんぽ」離れ
参考:参考:公益財団法人 生命保険文化センター
http://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf
生命保険の代表的存在の「かんぽ」ですが、データからかんぽ離れが進行していることが分かります。マイナス金利の影響でかんぽの保険商品が元本割れしていることが要因であると考えられます。
⑥ 世帯年間払込保険料推移
参考:参考:公益財団法人 生命保険文化センター
http://www.jili.or.jp/press/2018/pdf/h30_zenkoku.pdf
世帯年間払込保険料は年々減少傾向になります。平成18年には年間52.6万円もの払込保険料でしたが、平成30年が38.2万円と12年間でおよそ14万円もの払込保険料が減少しています。
払込保険料の減少の要因として、少子高齢化による保険料支払い層の減少といったことだけではなく、「保険の見直し」により保険料金の節約傾向が高まっていることが挙げられると考えられます。