
不動産投資をするうえで、物件価値を図るための指標である「利回り」を理解することは必須項目といえます。今回は実際の物件を使いながら「詳細に」利回りの計算方法をご説明していきたいと思います。
1 利回りとは?
利回りとは物件に投資してどのくらいのリターンをあげることができるのかを数値で表したものです。ここでは分かりやすいように具体例を使って説明していきたいと思います。
(例)1,000万円で購入したA物件の家賃収入が年間100万円の場合
利回りは「年間収入÷購入価格×100」で計算することができます。
100万円÷1,000万円×100=10%
よってA物件の利回りは10%ということになります。
利回りからわかることは、年間の物件からのリターン率だけではありません。利回り10%ということは、10年間この状態で運用していけば、元が取れるということも分かります。ですから利回りから以下のことが読み取ることができます。
・物件からの年間リターン率
・物件に投資した資金を回収することができる期間
このように利回りを知ることは不動産投資において「最重要課題」であることがお分かりいただけると思います。
2 利回りの種類を知ろう
一口に「利回り」といっても、使われる場面では全く違う数値が算出されることがあります。利回りのワナにはまらないように、利回りには複数の使い方があることを理解しておきましょう。
① 想定利回り
想定利回りとは、満室を想定した年間の家賃収入を物件購入費用でわった利回りです。インターネットの不動産投資サイトではこの想定利回りを使っているサイトが多くなっています。
想定利回りでは入居率やコスト(税金や修繕管理費)を加味しないで計算しているため、利回りが高く算出される傾向があるので注意が必要です。
② 実質利回り
実質利回りとは、家賃収入からコストを差し引いた金額を購入金額で割った利回りです。実質利回りは実態に近い利回りを算出することができます。
実質利回り=( 年間収入-年間支出 )÷購入価格×100
≪不動産投資にかかるコスト≫
・固定資産税・都市計画税
・保険料
・管理費・修繕費
・修繕積立金
・不動産会社に支払う費用
・その他不動産投資でかかる経費
見てきたように「利回り」といっても、想定利回りなのか、実質利回りなのかで数値に大きな差が出てきます。物件を査定する場合は自分で実質利回りを計算する癖をつけていきましょう。
3 実質利回りの計算方法
ここでは不動産投資の投資で必須アイテムとなる実質利回りの計算方法を詳しく説明していきたいと思います。
参考:楽待HP
人気の区分マンションです。また近所には大学が複数存在し、学生の需要が高い立地条件に位置しています。16.8%と高利回りの物件です。価格も250万円とお手頃価格になっています。
① 物件を調査する
他サイトで必要情報を調べていきます。複数のサイトを調査・分析していくことで物件の客観的評価も知ることができるので、複数サイトの調査・分析は不動産投資には欠かせない大事な仕事です。今回の物件に関しては他のサイトでも同様の250万円でしたので「妥当な」価格であることが分かります。
・修繕積立費 5,500円
・管理費 7,500円
・家賃 32,000円
固定資産税・都市計画税の表記が見つからないので、自分で簡易計算していきます*。
固定資産税=250(万円)×70%×1.4%=24,500円
都市計画税=250(万円)×70%×0.3%=5,250円
*物件価格を7割で評価してその価格に固定資産税率の場合は1.4%、都市計画税の場合は0.3%をかけて計算します。
② 実際計算してみよう
・年間家賃収入
32,000×12か月=384,000円
・コスト
(5,500円+7,500円)×12か月+24,500円+5,250円=185,750円
・実質利回り
(384,000円-185,750円)÷250万円×100=7.93%
③ インターネットの利回りを信用しない
サイト表示利回り 16.8%
実質利回り 7.93%
利回りが半分以下になっています(これでもまだ保険料などは加味していません)。サイトでは想定利回りを表示しています。自分で実質利回りを計算して不動産投資をしていくようにしましょう。